Friday, July 25, 2008

花火 (2008/07/25)

夏至から一ヶ月経った今日あたり、一年でも一番暑い時季ではないかと思うのですが、昨夜からバンクーバー でも花火のシーズンが始まりました。

 HSBCのスポンサーで毎夏4回行われるのですが、昨晩の気温は13度。

 打ち上げを間近で見ようと、イングリッシュベイの海岸に集まった群衆は35万。

 花火の時間は夜10時から30分間ですが、昼過ぎから毛布やゴザをかかえた人達が海岸に向かって歩きます。 

薄暮になると目抜きの通りも歩行者天国。 パトカーも救急車も多数待機しています。 騎馬警官もあちこちに数人ずつ。 屈強なお巡りさん達も夜光性の上っ張りを着て群集にとけこんでいます。 夕方頃から手錠をはめられた運の悪い人もみかけました。

海岸には仮設の臨時トイレがこれまた無数に並び、その前を、まだ夕方だというのに、延々と行列が続き順番を待っています。 

水際のレストランも、いつもならランチ10ドルのところが1人50ドルのディナーにアップグレード。

暗くなった海面には、これまた光を落としたヨットや観光船が、花火の打ち上げ台となるミニ航空母艦のような方舟を、遠くから囲んでいます。

若い人が殆どですが、車椅子の人もあちこちに。
 
しかし私のような後期高齢者は見かけません。 視覚障害者の私なんか出る幕ではないのですが、アパートを一歩出た所が見物の一等席ですから、セーターを着込んで群衆に加わりました。

フランスの女性首相が働き者の日本人のことを蟻と呼んだことがありましたが、バンクーバーのウォーターフロントの高層ビルから見下ろした人も海岸に集う市民の群れがこれまた蟻のように見えるとつぶやいていました。 それでは働き蟻に対していささか礼を失するのではないかと思ったのですが。

花火は30分 、20分前、10分前に前奏曲の打ち上げがあり、10時になるとカナダ国歌のレコード演奏とともに始まりました。 

そして幻想的な幽玄の雰囲気をかもし出す静かなシンフォニーの音楽が流れてきます。

音楽にあわせて水色、緑色、オレンジ色の花火が踊るように光の饗宴を繰り広げます。

 そしてクライマックスは観客のお腹にずっしり応えるような雄大な響き。

喝采にまじって指を口にくわえた若者達の甲高い口笛が飛び交います。

スターも演出者も姿を現さない、ライトとサウンドだけのコンチェルト。

10時半になると静けさを取り戻しました。 

そして群衆も家路につきます。

私がアパートに帰ったのは10時35分でしたが、バスやトレインはその夜午前1時半まで運行していたようです。

遠く高いビルの窓から見るのもよいですが、これだけ多くの市民を惹きつけるのは、夜空を彩る華麗な花火に加えて、人と人の一体感にひたる楽しさではないでしょうか。

世に捨てられた隠者の私も、ちょっぴり人懐かしさを覚えた一夜でした。
(2008/07/25)

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