Wednesday, August 16, 2006

半日入院(2006/08/15)

イノさんへ

今日は、前立腺肥大の手術をしてきました。 簡単な手術だから、終わったら直ぐ歩いて帰れるだろうと思ったのですが、実際は矢張り付き添いが車で玄関までやってくる必要がありました。

手術は9時からと聞いていたのですが、手術室に入る前に腕時計をはずし、壁にかかっている時計を見るのを忘れたので、確な所要時間は判りません。 45分から1時間と聞いていたので、頭と目以外にこれといった障害のない私は恐らく最小時間ですんだのでしょう。

背中に麻酔を打たれて、トロトロッとしたようでしたが、目をあけると、担当の専門医の姿がみえます。 「これからいよいよ手術だな」と思ったら、「もう済んだよ」という言葉。 驚きました。 20年前腎臓結石の開腹手術を受けた時も、麻酔のスリックな効き目に驚いたのですが、今度もスムースな体験で、しかもその後リカバリールームに移されて麻酔がすっかり取れるまでの3時間、実に快適な気分なのです。 しかし足が上がりません。 阿片でも吸ったらこんな心地になるのかと思うくらい、なんとも言えない極楽の蓮の上にでも寝ているような感じ。 もし死ぬプロセスがこんなに快適だったら、ピンピンコロリの仕上げには最高だと思ったことでした。

しかし全身麻酔は次第に肩から胸に醒め始め、徐々に腹部、腰へと下がっていきました。 そして事前に知らなかったのは、プラスチックの管を通して、袋に尿が溜まることです。 今日は火曜日ですが、これを金曜日までつけておいて、金曜の朝ファミリードクターに外してもらうことになりました。 ですから、それまでは重い物も持てず、外出もできません。

デー・サージェリーという日帰り治療の部門で手術を受けたのですが、数多くの看護婦が入れ替わり立ち替わりやってきて面倒をみてくれます。 私はバンクーバーの人が特に親切だとは思わないのですが、今日の看護婦さん達は全員Aプラス。 バンクーバー旧市内の半分は中国系ですから、数年前ヘルニアで入院した時は、本院の看護婦さん達は、フィリピン系や中国系などアジア系の人が多かったのですが、今日のデー・サージェリーはどういうわけかヨーロッパ系の人ばかりです。 

私には人種偏見があるので、安岡章太郎の感覚にある程度共感するのですが、外人と接する時虚心坦懐にというわけにはいきません。 外人に愛想よく親切にしてもらうと「どうしてアジア人の自分に?」という一抹の疑念がふっ切れないのです。 若い人には不可解なことでしょうが。

今日の看護婦さん達は一人残らず親切。 そして上機嫌。 快活で優しい。 しかもビジネスライクで万事がテキパキと。 きっとマネージメントが良いのだと思います。 人間大体性質と能力は似たようなもの。 十人十色の個性を活かすか腐らすかは、上に立つ人の責任。 ここで嬉々として働ける環境をつくったのは、伝統
なのか? それとも誰かカリスマのあるリーダーが居たのかなと考えました。。  

安岡章太郎先生はアメリカ軍と戦った世代。 その先生が戦後間もなくアメリカの田舎を旅行して、未知の人に「泊まっていけ」と言われて、その心根を測り兼ねたというのも判るような気がします。 私は戦後派ですが一応竹槍の銃剣術を習った生徒の一人。 外人というとどうしても身構えてしまうのです。

これから金曜日まではプラスチックの袋をぶら下げて、ソファーにごろ寝の公認カウチポテトです。 

まあ阿片に近い寝心地といい、機嫌のよいご婦人方に何くれと面倒をみてもらい、なかなか結構な半日でありました。

(06/08/15)

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