レバノン系カナダ人(2006/07/24)
イノさんへ
此の頃カナダでは、ニュースというと、殆んどがレバノンの戦乱のことです。 それもレバノンから脱出しようとするレバノン系カナダ人の話題です。
レバノンは小さい国とはいえ、地中海の宝石と言われているそうで、ベイルートに住んで居たアロハさんによると、「山の上ではスキーも出来て、中東の神戸といった所だよ」ということでした。
そのレバノンに帰っている二重国籍のレバノン系カナダ人は5万人もいるというので、カナダに留まっているレバノン系カナダ人も含めれば、相当な数になるものと思われます。
数年前のカナダ政府の統計をみると、カナダに住む全アラブ系の人は20万。 ユダヤ人も20万。 その中でレバノン人の占める割合はかなり大きいのだろうと思います。 日系人の数字は記載されていませんでした。
「レバシリ商人」と言われるくらい、レバノンとシリアの人は、ビジネスの才覚に富んでいるのでしょうが、中東の「エコノミックアニマル」といったところでしょうかね。 その人達が、一旦カナダ国籍を取得すると、再びレバノンに戻り、5万人のうちの半分はレバノンの永住者だそうですから、地中海の香港人といった存在ではないかと思います。
香港が中国に返還される直前、香港人が大挙してカナダにやってきて、カナダ国籍をとり、一旦二重国籍の身分が確立されると、また香港に戻って、ビジネスを続けています。
日本からカナダに戦後やってきた移民も、日本の景気がよくなると、日本に帰国し、そのまま居ついているようです。
しかし日本政府は、二重国籍を認めていません。 それも最近、出先機関の領事館の窓口で締め付けを厳しくしているようで、証明書の発行にも、「二重国籍ではありません」と誓約書を書かせるなど、新しい自家製のルールをつくって圧力をかけていると聞きました。 ペルーの大統領だったフジモリさんあたりになると、日本政府のお偉方も、そこは融通無碍の解釈が可能になるのでしょうが、細かい規定を金科玉条とする領事館の窓口と地頭には勝てないのでしょう。 松平定信は「政治は座敷を丸く掃くがごとく」と諭し、ケネディも「移民政策は柔軟に」と教えたのですが、9/11 以来、国境をめぐる杓子定規が厳しくなってきましたね。 領事館の職員も知人には親切ですが、ワーキングホリデーの若い人達の評判はまた別。 田中真紀子外相になってから在外公館も愛想がよくなったと聞いたのですが、もしそれが事実なら、田中外相も良い遺産を残してくれたようですね。
かつては、アメリカも二重国籍は認めていなかったのですが、最近は緩和され、アメリカ人でカナダ国籍をもつ人達も増えてきました。
日本でも、民主党の一部議員が、二重国籍を認めることにしようという動きがあったようですが、どうなったのでしょう。
いずれにせよ、小国レバノンから来たカナダ人の規模には驚きました。 それでもカナダよりレバノンに愛着があり、住みよいと思ったから故国に帰ったのでしょうが、戦乱が始まると、カナダの旅券を取り出し、カナダ国民として権利を主張します。 そしてカナダ政府の救済対策が手ぬるいと、声高に批判し、カナダへの帰国を急いでいます。
多くのカナダ人にとって二重国籍は当たり前のことですが、愛国心に基づく、真の帰属すべき母国故国はどちらかと訊かれたら、複雑な気持で戸惑う人も少なからずいることでしょう。 時と場所に応じて。別な旅券を呈示して、便宜国籍の権利を行使する。 これも移民の国カナダのかかえる、こみいった利害関係、心理的ディレンマの一つの側面でしょう。。
(06/07/24)

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