Wednesday, November 02, 2005

スキャンダル調査報告(05-11-01)

イノさんへ

1995年の秋、ケベックがカナダから分離独立するか否かという問題を巡って州民投票が行われる直前のことです。 英語圏カナダから有志が多数バスや飛行機、鉄道でモントリオールにやって来ました。 そしてモントリオールの公園で空前のラリーが繰り広げられました。 群衆のどよめきの中で、今迄見たこともないような何十畳敷という大きな赤い楓の国旗が拡がると、いやが上にも興奮は高まりました。

投票の結果は、紙一重の差で独立が否決され、カナダの分裂は免れたのでした。 あれから丁度10年。 まだあの時の興奮が冷め遣らないのですが、もし今投票が繰り返されたとしたら、独立に賛成する票が52%に達するだろうと言われています。

10年前、カナダの統一が危殆に瀕した時、カナダという一枚岩の連邦体制に信を置かないケベック人か多いからだという反省から、当時のクレチアン首相は、カナダあってのケベックだということを認識させるために、様々な行事を企画して、3億カナダドルを投じることにしました。

その意図は良しとしても、その資金のかなりの部分が、与党自由党に近いケベックの広告代理店の扱いとなり、その一部が自由党のケベック支部に還流するという不祥事が発覚。 それを知ったケベック州民は激昂しました。 そして逆に独立志向に油が注がれることになったのは皮肉な結果でした。

その実態を調べ上げるために、マーティン首相は、ゴメリ判事に依頼し、調査が始まったのは2年前。 多数の関係者の証言は、事実は小説よりも奇なりを地で行く展開となり、ケベックにおけるテレビの中継は登場する次々に登場する関係者の奇々怪々な成り行きに高い視聴率となりました。 調査の結果は来年2月に発表される予定ですが、マーティン首相はその発表を待って、総選挙を行うことを約束しています。 

しかし今日11月1日、実は、その中間報告が公表されたのです。 これでスキャンダルの筋書きは大体見えたとあって、全国民の耳目を集める話題となりました。

ゴメリ判事の中間報告は、人差し指を、自由党ケベック支部の領袖、オタワの少数の官僚、モントリオールの自由党寄りの広告代理店に向けており、その中にはクレチアン前首相の名もあるのですから、燎原の火はまさに点火されたばかりです。 

勿論、クレチアン前首相は、国の統一のために身を賭して行った崇高な愛国的行為を、スキャンダルにすり替えられ、あたかも自分にもその責任が一部あるかの如く扱われ、烈火の如く、怒り心頭に発しています。

そしてクレチアン氏と袂を分かって内閣を飛び出したライバルのマーティン首相が、ゴメリ判事によって、この問題に関する限り「白」の判定を受けたことも、我慢のならぬところでしょう。

マーティン氏はクレチアン内閣の財務相でしたから、国民も野党も、マーティン無罪論にはくみすることが出来ないと息巻いています。 ゴメリ報告は、財務相の役目は財政の構築、金の使途については別な閣僚や官僚の責任としていますが、血の気の多い学生や野党首脳には通用しない解釈です。 今直ぐマーティン退陣を要求。 ということはクリスマスに選挙をということでしょうか。 自由党は今のところ、どの野党よりも支持率が高いのですから、勇ましい議論をしてみても、どの程度現実性があるのか、私には判りません。

もともと政治に疎い私は、英語フランス語も不得手。 記事を読む時は、一語一語でなく、一文字一文字追っていくのです。 明日時間のある時に、よく見えない目をこすってみますが、蝸牛の様な読み方でどの程度掴めるものでしょうか。

シゲより   (05-11-01)

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