バンクーバーの選挙(05-11-21)
イノさんへ
この前、ヤードセールを行った日曜日、コミュニティセンターにセールのサインを貼りに行ったら、ちょうど選挙が行われていました。 市長や市会議員、教育委員の選挙です。
日曜日は、ブリティッシュコロンビア州の各地で、それぞれの自治体の選挙が行われたのですが、バンクーバー市もその一つだったわけです。
バンクーバーの過去3年間の市長は、警察官、検死官の経歴をもつ庶民的なラリー・キャンベル氏だったのですが、3年前の選挙の際は、対立候補が、エール大、カリフォルニア大バークレー校出身のエリート女性で市政のベテラン。 それを破って当選したのでした。 麻薬問題に正面から取り組み、麻薬患者に理解と同情をみせるアプローチを試み、論議を呼んだのですが、僅か一期だけで、再選は望まないと言明した時は、人気の高い市長だっただけに、惜しまれたのでした。
さて、日曜日の選挙で、次のバンクーバー市長に選ばれたのは、車椅子の市会議員、サム・サリバン氏、46才でした。 対立候補は、キャンベル前市長と同じ系列の、これまたベテラン政治家だったのですが、市民は童顔の車椅子の身体障害者を選んだのでした。 サリバン氏は19才の時、スキー事故で、下半身の自由を失っています。
バンクーバーは、世界で、最も身体障害者に親切な都市だそうです。 そう言えば、車椅子の人をよく見かけます。 バスも、車椅子を載せる装置のついたものが多く、運転手も停留所で、バスから降りて、気軽に車椅子を車内に乗せています。
車椅子に乗った若い男性でも威張ったもので、家内が座席にすわっていると、「ホラ、あそこにお年寄りが立っているよ。 席を譲って上げなさい」と口出しします。 その白髪まじりのご婦人の方が案外家内より若いのかもしれないのに、黒髪の70才の東洋人に向かって「席を譲ってやれ」とは恐れ入ります。 家内も郷に入っては郷に従えと、直ぐ立ち上がりました。
電車の駅も、プラットフォームには必ずエレベーターがありますし、歩道の端も段を削って滑らかにしてあります。 まあこの程度は他の都市でも行っていることでしょうが、とにかくバンクーバーには、バリアフリーというのか、建物の出入りもスムースに出来る所が多いです。 そういう所のトイレも、一際大きなサイズになっているのが普通です。
車椅子は大抵電動ですから、歩く人のスピードより速く、「そこのけ、そこのけ、おいらが通る」と、前から後から迫ってきます。
バンクーバーは、ニューヨークからみれば村に過ぎないでしょうが、それでも一応北米の有力都市。 そこの市長ともなれば激職でしょう。 動きの不自由な人でも大丈夫なのかなというのが、私の時代遅れの疑問です。 しかしバンクーバーの市民は、そんな因循な感覚ではないのですね。 身体障害者を堂々と選出したのですから。
バンクーバー市の選挙で目についたのは、どの候補者も看板に、ローマ字の名前と並んで、漢字の当て字を書いてあることです。 私は、最初、こんなに大勢の中国系が立候補しているのかと、一瞬思った程でした。 しかし、その傍らに出ている顔写真をよくみると白人です。
バンクーバーの人口は、近郊を除いて、市内だけに限ると、50万です。 そのうち、半分が中国系だと言われます。 なるほど、中国系の票を取る必要があるのですね。 ですからサリバンも「蘇利文」です。
しかもサリバン氏の謳い文句は、中国語が話せるということです。 なかなか流暢なものです。 これには中国系の人達もグッと参るでしょうね。 それに、今は、インドのパンジャブ語を特訓中だというのですから、脱帽です。
身障者で、少数民族の言葉も学ぶ。 そういう人なら、弱い者の立場に立って、市政も行ってくれることでしょう。 東京の知事とはまた一味違う感覚で、低い視点から、市民の暮らしを考えてくれるのではないかと思うのです。
シゲより (05-11-21)

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