息吹き返すモントリオール(99-9)
リオールは、パリに次ぐ世界第二のフランス文化の都。 ケベック州 730万の州民の約半数がここに住んでいます。 かつてはカナダ最大の産業都市、金融のセンターとして君臨していました。 しかし過去20年あまり、フランス語系住民のパワーが強まったため、英語系企業はトロントに移り、英語系住民も動ける人は他の英語州に流出。 そのため経済も空洞化し、斜陽の影が濃くなっていました。 3年ほど前は、目抜きの通りセントキャサリン(Rue Saite-Catherine) には、板をウィンドウにうちつけた空き家の店が目だっていたものです。しかしここへ来て、リバイバルのサインがあらわれてきました。街には新しいシックな店が増え、買物客で賑わうようになりました。 通りに面した店の家賃も、3年前にくらべて倍になっています。新しい活力の源泉はソフトウェア産業。 Motorola をはじめ、マルチメディア産業が5千人の雇用を創出。 過去5年間に、ハイテクの分野で 2万人から3万人の職が生まれたと、州政府はみています。不動産市場もようやく動き始めました。 最近まで東京で活躍していたプログラマーの若者も、去年モントリオールに帰ってきました。 ほかに航空宇宙産業と製薬産業が、モントリオール周辺では活発です。好転のきっかけは、ハイテクのリサーチ・アンド・デベロップメント、R&D産業。 その成果が、隣のオンタリオ、またアメリカで利用されるようになってきました。 この静かなブームの仕掛け人は、ケベック州政府。 ハイテク産業には、北米で最も気前のいい、しかし賛否両論の議論をまきおこす、助成金政策を打ち出しています。 R&Dのプロジェクトによっては、そのコストの3分の2まで出しています。 それに惹かれて進出する外資も増えてきました。 スウェーデン系の情報技術R&Dセンターでは、1986年には 50人であった社員が、現在 1200 人。 一人の雇用につき、年間 15000カナダドル(10000USドル)の助成金が出るケースもあるほど。 ケベック州政府としては、情報技術の分野だけでも 8千万カナダドルの支出を見込んでいます。しかし、モントリオールは北米の諸都市の中でも、個人の税負担の最も重いところ。 ケベック州政府は、助成金は投資であって、いずれ税金で還流するものとみていますが、政治情勢は依然不安定。 州民の半数は独立に傾いていますが、しかし今すぐ独立に走ることには反対。 英語系の友人は、「独立論議は永遠に続くよ」と、モントリオールに腰をすえたまま、動く気配はありません。 (Sep. 99)
息吹き返すモントリオール (99-09)

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