友への手紙(06-04-12)
イノさんへ
私の見た映画は、「ブロークバック マウンテン」という題で、「クラッシュ」ではありません。 そのうち「クラッシュ」もまわってくるだろうと思いますので、その節はまた観にいきたいと思います。
「ブロークバック マウンテン」はカラーのはずなんですが、私の目には、曇りの日に黒眼鏡を掛けたような按配で、画面は、大自然も含めて、暗い色調でした。 登場人物の金髪も白髪に見える始末。 おまけに、台詞が南部の訛りとあって、とても筋を追うことが出来ず、残念ながら楽しめませんでした。
我が家のテレビは、大分前に買った中国製の13インチですが、一応色は見えます。 音はモノラルですが、イアフォンの方が聞きとりやすいので、片方の耳で聴いています。 私が観るのは、ニュースとインタビュー番組ですが、75才に手が届くと、ヒアリングも理解力も格段に落ちることを痛感します。
バンクーバーに住む弟が、「プラズマを買ったから見に来い」というので出かけたのですが、42インチ、今流行りの横長の画面で、中国製の3,000ドル。 韓国製の方が高く、日本製はさらにもっと高いそうです。 中国製でも十分と思えましたが、なるほどうちのテレビに比べて格段に見やすい。 しかし所詮私の目には猫に小判。 それに年寄りには重過ぎます。 たまには掃除のために動かさなければならないこともあるでしょうから、もし買うとしたら、プラズマでなくて手軽な液晶の方が無難かなと思いました。
イノさんは私より5才お若いのですが、気力迫力は一まわりお若い。 12才の違いがあります。 私達も、教会でのベーグルサービスで、5年前は、朝昼晩と3回のサービスに茶菓を出していたのですが、今は朝9時から午後2時まで。 「あの頃はまだ若かったんだなあ」と「老いやすし」の溜め息が出ます。
もしカナダの平均寿命が私にもあてはまるとすれば、後3年。 BC州の男性は、カナダでは一番平均寿命が長く、80才強だということですが、そうすると後5年あまり。 「無事是れ貴人」だそうですから、私も貴人にあやかって、無事のうちに行く末を過ごし、ピンピンコロリで参りたいものだと、そう願う次第です。
仕込み杖をイギリスの骨董店でみつけられたとのことですが、イングランドの骨董店巡りも面白い旅でしょうね。 私は20年以上前、ケベックシティに行った時、ちょうどカーニバルのシーズン。 冬のさなかです。 目抜きの通りを、ブラスバンドを先頭に長いパレードが行進するのですが、トランペットなどの金管楽器が、よく唇に凍りつかないものだと思いました。 道路に並ぶ市民の中には、仕込み杖を抱えた人が多く、そこからお酒を飲んでいました。 零下20度でしたが、「今日は風が無いから暖かい」と言っては、ぐい飲みをして、凍てつく謝肉祭を祝っていました。
イングランドの古い町やフランスのプロバンスをまわって、骨董品を仕入れて、日本に持ち帰れば、結構お客がつくでしょうね。 ニューヨーク州の知事や副大統領をつとめたネルソン・ロックフェラーは、まだ学生だった頃、ニューイングランドの田舎の古いコロニアル風の家を訪ねては、古い家具を買い集めていたということですが、若い時から目端がきいていたのでしょう。
あるバンクーバーの知人は新潟の出身ですが、リビングルームに、裏日本の田舎で買ってきた等身大の仏像を、リビングルームの暖炉の脇に飾っています。 「カナダの友人達の垂涎の的でね」と笑っていましたが、日本の片田舎にも、結構隠れた美術品がまだ多く眠っていることでしょう。
哲郎の妻のバハレの叔父さんは、イラン、フランス、カナダの三つの旅券を持って、フランスから骨董のグランドピアノやギリシャ風の円柱など仕入れてきては、トロントで売っています。 日本にも度々行くようで、初対面の折「いらっしゃいませ。ようこそ」と挨拶されたのには驚きました。 トロントの北にミニ宮殿のような家があり、昔イランで若く貧しかった頃バハレの親に世話になったからと、恩返しの意味で、哲郎達の結婚式を自宅で行ってくれました。 ちょうど夏。 西瓜の季節でしたが、「イランでは、西瓜のことを『ヘンダワネ』というが、日本でそう話すと大笑いになる」と笑っていました。 そんな人でも、ラスベガスにホリデーに行こうとすると、旅券に出生国が「IRN」とあるので、トロント空港で、アメリカの移民官に入国を拒否されるそうです。
シゲより (06-04-12)

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