Saturday, March 04, 2006

長いしこりの米加関係(06-03-04)

「地球を見回してみても、お隣の国と関係がうまくいっている地域というものは案外少ないものだなあ」

「日中、日韓ともに、一般市民レベルでの交流はともかくとして、政府レベルではどうもギクシャクしているからね。 でも東南アジアでは、大方うまくいっているんじゃないか」

「アメリカとカナダの関係にしても、歴史的には緊張の期間の方が長い。 それこそ一般市民の間では、家族の誰かがアメリカに住んでいるとか、言葉や文化も同じなら生活様式も似ている。 それなのにワシントンとオタワの関係となると、どうもシックリいかない」

「それでも、18世紀や19世紀の頃に比べれば大分よくなっているらしい。 昔は 文字通りかたき同士だったのだから。 アメリカがイギリスに対し独立戦争で立ち上がった頃が、最悪の時期だった。 その時期、祖国イギリスに反旗を翻すことを潔しとしない人達が、アメリカを去って北へ向かった。 それがカナダの始まりだ。 その頃アメリカでは、いっそカナダも併合してアメリカの一部にしようと言う動きもあったようだ。 ところがカナダ東部に移り住んだ親英派にしてみれば、頼みの綱のイギリスが肝腎な時に動いてくれない。 その頃イギリスは、ナポレオンに危惧を覚えていて、カナダの要請を受けても動けない情勢にあったようだ」

「だからその時機を狙って1812年、アメリカはオンタリオに攻撃を仕掛けてきた。 ところがどっこい勝負がつかない。 結局アメリカは南に撤収し、矛をおさめたのだが、あの頃が両国の関係もどん底にあったと思う」

「いや、それからさらに20年以上たった1837年にも、戦火は再燃している。 この時は、カナダ国内で、イギリスの支配を不満とする分子がいたので、その反抗勢力にアメリカが肩入れした。 ところがこの時も、アメリカ勢はカナダによって反撃され、攻撃に加わったアメリカ人は処刑されたり、オーストラリアに流刑の憂き目にあったり。 そうしたいざこざは、結局は終息する方向に流れていったのだが、国境付近では絶えずきな臭い小競り合いがあった」

「カナダが独立したのは1867年だが、その頃のアメリカは南北戦争でたいへんな時代だった。 それからも両国の関係は、晴れたり曇ったり、天気が崩れることもあったようだ」

「アラスカとブリティシュコロンビアの境界をめぐる紛争も長く続いたが、1903年イギリスがリードした国際裁定の場で一応かたがついた。 しかしそれはカナダにとっては不満な裁定だった。 その頃のカナダには、ワシントンと直接交渉する能力がなく、国際会議の舞台ではイギリスに代弁してもらっていた。 カナダが直接外交の場で独自に発言できるようになったのは1944年だからね」

「しかし1950年代には、自由主義諸国とソビエトの共産圏の対立が激しくなった。 1957年には、北米の対空防衛システムが樹立されたが、その頃カナダの経済は実質的にアメリカの傘下に置かれていた。 何しろカナダの石油や天然ガスの70%はアメリカ資本の下にあり、オンタリオの自動車産業にいたっては90%がアメリカ資本だった」

「そうした時機に登場したのがディーフェンベーカー首相だ。 アメリカではケネディが登場する。 ディーフェンベーカーは若いケネディ大統領を尊敬していなかったし、ケネディもキューバ危機の際、カナダに事前通告をしなかった」

「その後でカナダの首相になったのはピアソンだが、彼はアメリカのベトナム北爆に反対していた。 これに怒ったジョンソン大統領は、1965年キャンプデービッドを訪れたピアソン首相の胸倉を掴んでつり上げ、罵詈雑言を浴びせたのは有名な話だ」

「トルドー首相とニクソン大統領も、お互いに嫌い、軽蔑しあっていたからね」

「ところが、マウルーニー首相とレーガン大統領の時期になると、アイルランド人同士のよしみで、仲の良いところを大いに見せてくれた」

「それでも、木材をめぐる燻りの火種は1984年に始まっているんだね」

「その後はクレチアン首相とクリントン大統領だが、これも仲のよいゴルフ仲間で調子が良かった」

「ところがジョージWブッシュが2000年に現われると急に悪化した。 イラク戦争を支持しなかったクレチアンを嫌って、ブッシュはカナダを無視し続けた。  2004年二期目の当選を果たし、カナダの首相がマーティンに交代してからやっとカナダを訪れたが、その時もカナダの意向に反する演説を行って、カナダ側を面食らわせた」

「今のハーパー首相は、イデオロギー的にはブッシュに近いとされているが、北極海をめぐるカナダの主権をアメリカは認めようとしないし、20年以上争っている木材問題も未解決のままだ。 唯我独尊のワシントンにハーパーがどれだけ食らいついていけるか、私には見当がつかない」

「ハーパーが総理になって6週間。 既に国内でも色々摩擦が生じている。 発足したばかりの保守党政権だが、国民との蜜月時代はまだ実現していない」  

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