Thursday, May 04, 2006

新予算と野党の対応(06-05-04)

「保守党予算に野党はどう対応」

「ハーパー保守党内閣のフラルティ(Flaherty)財務大臣が、5月2日に、新しい予算案を議会に提出したね」  

「これは保守党としては初めての予算だが、その前身である進歩保守党政権の頃からすれば、13年ぶりの予算ということになる」 

「保守党の今後の政策は、先日の議会の開院式で、総督のミカエル・ジョン女史が上院の女王の座から、スローンスピーチを読み上げて、大筋は示されたが、今回の予算は、さらに本格的な政策運営の骨格を説明するものだと言える」

「フラルティ財務相は、前はオンタリオ州保守党政府の財務大臣だったが、 財務大臣が予算を発表する時は、新しい靴を履くのが恒例だ。 だからフラルティさんも、テレビのカメラに自分の靴の裏をみせて、新調であることを披露していた」 

「テレビでみる限り、横に構えたハーパー首相に比べて、背丈も幅も大分コンパクトな感じだね。 でも声は大男なみ。 満場の下院議員や傍聴席を前に、新しい予算を繰り広げてみせた」

「今、カナダ政府の国庫の中には、これまで貯まった金が十分有り余っている。 これは、前の自由党政権のマーティンさんが、財務相、首相時代に、せっせと財政赤字を退治し、貯め込んだものだ。 保守党は、その黒字を自分達の手柄のように考えているようだがね。 そのたっぷりした黒字の置き土産で、保守党お気に入りの分野に、減税や総花予算を配分しようとしている」

「いずれにせよ遠くない将来に、また選挙があるだろうから、その際は多数党として出直したい配慮が働いているのだろう」

「一方前の自由党政権が選挙前から国民や海外に約束していた「京都」関連の環境政策や、乳幼児のデーケアの拡充、先住民族の生活水準の向上と福祉などは、大幅バッサリ削減されているね。 300頁を越す予算文書のなかで、環境に触れた部分は数行だけだ。 これもハーパーの「京都」嫌いを如実に示している」

「減税の対象としては?」

「まずGST(物品サービス税)を7%から6%へと1%引き下げたのが引き出物。 ビジネス界も、企業税が21%から19%になることを歓迎して拍手を送っている」

「軍事予算も大幅増強。 警察関連の予算も、警察官を増やし、国境の税関吏や移民官にも銃を持たせるそうだから、その武器の予算も膨らむことになる」 

 「しかし、自由党政府が始めた銃砲取り締まりの登録は、保守党はもともと反対だからね。  都市部の有権者はみな銃砲規制を歓迎しているが、彼等は自由党支持だ。  一方、保守党の地盤である地方の有権者は、自衛のためのガンを神聖なものと考える。 だからハーパーも『銃砲の登録など無用の長物』と斬り捨てるわけだ」 

「文化行政の元締めはヘリテージ省だが、日系女性政治家のオダさんが大臣だ。 だがその文化予算も緊縮気味で冷水を掛けられた恰好だ。 選挙前は文化の振興をうたったオダさんだが、公約を食言せざるを得ないから、最近余り歯切れがよくないようだね」

「少数与党でもつ保守党政権だが、これが最初で最後の予算になったら大変だ。 だからなんとしてでも議会を通過させなければならない。 そのためには、野党3党のうち、一党だけでも、保守党予算に賛同してくれればいいのだが」

「野党も、1月に選挙があったばかりだし、今年中にまた解散ということになると、やはり困るだろう」 

「特に、カナダからの分離独立を目指すブロックケベコアは、ケベック州で人気が今落ち目だ。 だから、今すぐの選挙はどうしても避けたいところだ。 となると当然保守党の支持にまわることが考えられる」

「ハーパーもそこを読んで挑発的な物腰だ。 自由党に向かって、『この予算を潰したければ潰してみろ』と、喧嘩を吹っかけている」 

「自由党にしても、マーティンが引退して、今は党首不在の時期。 党首に立候補する人は10人を超え、有能の士が多士済々だが、次の党首が決まるのは11月になるだろう。 それまでは選挙は願い下げにしたい事情は同じだ」 

「新民主党としても、去年の暮れに自由党を敵にまわして自由党政権を落としたばかりだ。 といって新民主党が政権をとれる筈はない。 二大政党の合間にあってキャスティングボートで揺さぶりをかけることができれば上々だ」

「だからこれとても、金のかかる選挙は先に延ばしたいところだろうから、両党の批判にもつい舌の切れ味が鈍りがちだ」

「ということは、野党三党も総すくみというところかね」

「今回の保守党予算は、次の選挙を視野においた暫定予算という感じだね。 本格的な長期政権のための予算は、来年ということになるんじゃないかな」

(06-05-04)

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