Thursday, May 18, 2006

保守政権百日(06-05-18)

ハーパー内閣が発足してから100日経ちました。 最初の3ヵ月余りは、メディアも不承不承ながら、「失点無し」という評価。 しかしぼつぼつほつれがあらわれ始める頃です。

最初のほつれは、議会の先住民委員会の委員長にハーパーが任命した保守党議員が、最高裁の裁判長に不穏当な批判を行って問題をおこし、辞任を余儀なくされたのが、保守党政権の最初のエラー。

次は、京都議定書に反対している環境大臣が、ドイツで開かれる国際環境会議の議長になるというので、カナダ国内の野党のみならず、ドイツの環境大臣も不満続出。 この議長のポストは、国際間で持ち回り。 今度カナダの順番がまわってきたのですが、京都のプロトコールを非難する人が、会議を取り仕切ろうというのも無理な話です。

それに、ハーパー首相とマッケイ外相は、最近別々にアフガニスタンに飛び、現地のカナダ軍将兵を慰問して帰ってきたばかり。 本来ならカナダ軍の駐留期限は来年までですが、それを、勢いにのって、さらに2年延長しようと、ハーパー首相は意気込みます。 最初は、それを議会に諮ろうともせず、まして議員による投票など論外と、高姿勢の首相ですが、少数与党という立場もあり、一応6時間の討議と投票を認めることにしました。 しかし仮に否決されても、首相の独断で一年延長は強行すると宣言することも忘れませんでした。

なぜ、討議に応ずることにしたのか。 それは、カナダ国民の大半が、アフガニスタンがカナダ版ベトナムになるとみて、カナダ軍の駐留に反対しているからです。 

昨日、議会で、その討議が行われている間に、カナダ軍の女性兵士が戦死しました。 これでカナダ軍は17人の犠牲者をアフガニスタンで出したことになりますが、女性が戦死したのは初めてのこと。 他の多国籍軍では、女性を戦線の第一線に出すことはないようですが、カナダ軍では女性も戦闘要員。 今度戦死したのは、陸軍士官学校出身の26才の大尉。 9月には帰国することになっていました。

カナダは、世界各地の紛争地点に、平和維持軍を送り込んでいますが、アフガニスタンに駐留する2300名のカナダ軍は、平和維持が第一義ではなく、タリバンを討伐するのが目的の戦闘部隊。 もともとアフガニスタン派遣は、前の自由党政府の責任ですから 今回の投票に際して、自由党議員の心境も複雑でした。 ブロックケベコアと新民主党は出兵延長反対。 自由党は各議員の自由投票。 保守党は全員賛成。 従って、結果は、賛成149、反対145と、僅差に終わり、2年延長が決まりました。 自由党議員で反対票を投じたのは、派兵そのものに反対するというよりは、保守党の強引な策略に反対したものかもしれません。

ハーパーは、ブッシュやオーストラリアの首相と志を同じくする「精神的盟友」。 確かに米加の関係は部分的に好転しましたが、保守党としては、次の選挙で、過半数を押さえる多数党政権をとりたいところ。 ライバルの自由党は、現在リーダー不在の党首真空状態。 その隙に乗じて選挙を仕掛ければ、保守党にとっては有利なはず。 従って、選挙は、来年春とみられていますが、今年秋になる可能性もあります。 

保守党は、銃砲取締りに反対で、現存の火器登録制度を全廃しようとしています。 野党ならびに、オンタリオとケベックの二大州、それにトロント、モントリオール、バンクーバーは銃砲規制撤廃に真っ向から反対です。 地方に強い保守党が多数党になるには、これらの都市票が必要ですが、これこそ国を二分する選挙の争点になりましょう。

(06-05-18)

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