男の料理(06-05-29)
イノさんへ、
「男子厨房に入らず」というのは、何か漢籍のどこかにでも書いてあった言葉でしょうか。 多分に東洋の封建的な匂いが強いのですが、昔の日本ではそれがまかり通っていたのでしょうね。 私自身、台所の手伝いに立ったこともなかったのですが、母やお手伝いさんに苦労をかけながら平然としていたことを今は恥じています。
モントリオールに居た頃、韓国人の医学生が時々遊びに来ていましたが、娘達と一緒に台所で手伝うのを喜んでいました。 、彼の両親は戦後移住してきたアプレゲールの世代でしょうが、息子が台所に足を踏み入れることを許さなかったようです。 韓国人の家庭の方が我々よりもっと伝統的で、家庭の躾も別な意味で厳しかったのでしょうか。 こちらのカルチャーに染まって居た筈ですが、それでも「我が家では郷に入っても郷に従わず」という態度を貫くところが韓国人のプライドだったのでしょうか。
昔のロックフェラー家では、5人の息子達に週に一回料理を作らせていたそうです。 父親のジョンDロックフェラー二世は偉い人だったのですね。 子供達にとって辛かったのは、料理よりも、使った小遣いの明細を記帳しなければならなかったことだということです。 私など戦後無一文になった親の苦労にも知らぬ顔でノホホンと過ごしてきたのですから、腑甲斐なき限りです。
高名な女流評論家が、昔新聞のコラムに、「息子は智恵遅れだからコックにした」と書いていましたが、これは見当外れの暴言ですね。 世のシェフや板前を無意識のうちに侮辱した心なき言葉。 今ならそういう不用意な発言も控えることと思いますが、しかしそういうAさんはTBSでは大変な人気者だそうですね。
これからは料理も大の男が腕を競う晴れの舞台としてライムライトを浴びることでしょう。 こういうと、今度はフェミニスト陣営から怒られるかもしれませんが、私がテレビのレンズを通してホテルやレストランの調理場をのぞく限り、あそこはまだ男性の世界のようですね。
前にもお伝えしましたが、帝国ホテルの社長だった犬丸徹三さんも、ホテル人生は、ロンドンのホテルのコック修行から始まったそうですね。
イギリスの保守党の新しい党首となったデービッド・キャメロンは、いずれ首相となってダウニング街10番地の官邸に入るでしょうが、趣味と情熱は料理。 イートンからオックスフォードを経て、ビジネスの経験も重ね、議員生活僅か4年で党首となった俊才ですが、料理の本が愛読書だそうですから、国民も、いずれナンバーテンのキッチンで包丁を振るう首相のお手並みをテレビで拝見できる日がくるかもしれません。
シゲより (06-05-29)

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