オタワこのごろ(06-05-31)
イノさんへ
1月の選挙で、保守党は36%の得票で、第一党となり、政権に就いたのですが、現在の支持率は43%。 まずは順調な伸びで、ハネムーンの延長かと思われます。 仮にもし今選挙を行われれば、保守党が絶対多数をとる公算が大きいと言えましょう。
しかし、この、世論調査による支持率というのが曲者で、マーティン前首相が選挙に踏み切った時も、最初は自由党が優勢だったのに、僅かの日数のうちに逆転したのですから、水物です。 戦後のアメリカで、絶対負けると思われていたトルーマンが共和党のデューイを破ったケースも、戦中派の人なら忘れることのできないどんでん返しでした。
1月の選挙の際も、保守党はケベック州で完敗と思われていたのですが、選挙戦が行われている間に、自由党の弱みが次々に表面化し、蓋を開けてみたら、保守党の当選者は10名に達していました。 その中から5人が閣僚に起用されたのですが、ハーパーのケベック重視の考えがよく窺がわれます。 次の選挙で保守党が過半数をとるためには、ケベックを固めることが必須です。
ただ、ハーパーとその環境大臣のアンブローズ(女性)は、「京都」が非現実的であると、機会ある毎に、自由党前政権が調印した「京都議定書」を最大限の侮蔑の言葉で非難しており、京都プロトコールからの脱退を促しています。 そして代わりに「メードイン・カナダ」を用意すると言っているのですが、環境相は、一向にその具体策を示そうとしません。 これは、ブッシュとほとんど同じ案を引き写すものと思われます。
ケベック州政府は、ハーパーとは他の面では協調しているのですが、環境問題に関してはオタワに反対で、あくまで京都の目標を目指すという立場をとっています。 ハーパーも、ケベックのご機嫌を損ねるようなことはタブーですから、この問題でどんな歩み寄りをみせるか注目したいところです。
もう一つのハードルは、銃規制の問題。 保守党は、これも撤廃すると強調していますが、これは国論を二つに分ける重大問題。 保守党は、銃規制登録の手続きにはコストが掛かり過ぎるというのですが、だからと言って、規制を全廃せよというのも乱暴な議論のように思われます。 猟銃ならともかく、ピストルやライフルまで規制から外せというのですから、銃砲規制については日本の政策がベストだと思います。 銃を使った犯罪には厳罰をもって当たればよいというのが保守党の理屈ですが、この前もお伝えしたように、一人の犯罪者を収監するのに、年間10万ドルかかるというのですから、これも現実を無視した無理な話です。
長年米加間の棘となっていた針葉樹材の問題も、ハーパーとブッシュの腹芸で急転直下解決をみたように思われますが、よくその内容をチェックしてみると、カナダの森林産業の将来に禍根を残すような取り決めだと判りました。 アメリカの言いなりになっていると、業界から不満が噴出しています。 野党はもちろん最初から反対でしたが、この交渉の責任者が、エマソン通商相。 バンクーバーの選挙区から自由党として出馬しておきながら、ハーパーからの誘いで、保守党に鞍替えした人です。 次の選挙では、選挙区でも変えない限り無理でしょう。
シゲより

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