Thursday, September 27, 2007

変貌する家族像 (2007/09/27)

(07/09/27)

『変貌するカナダの家族像』

「カナダでも、家族というのは、父親と母親が居て、そこから生まれた子供達が育って成り立つものという概念が怪しくなってきたようだね。 結婚している人の割合は、成人社会の構成人口の中で少数派になってしまったと、政府の統計局では言っている」

「つまり15歳以上の成人の中で、正式に結婚した夫婦として暮らしているカップルは、48.5%と、半分以下になってしまったというのだ」

「それに意図的に子供をつくらないカップルが増えているのも目に付く。 また、一組の男女が一緒に暮らしていながら、結婚の手続きをしない、いわゆる内縁のカップルも増える一方だ」

「カナダでは2005年から男同士女同士の同性結婚が法的に認められ、現在は7,500組だが、これもどんどん増えることだろう」

「また片親だけで子供を育てているシングルペアレントが多くなったのも21世紀の特徴だろう。 それも男親が一人で奮闘しているケースが目立つようになってきた」

「それにちょっとアングルは違うが、若者の群像。 カナダの若者は独立心が強くて、十代になったら、サッサと親もとを離れて別居するのが普通のパターンだと思っていた。 ところが今は経済的に独立できるようになっても、親もとに住みついたまま家から出ようとしない若者が多くなってきた。 親より稼ぎがあっても、食費も部屋代もいれない。 洗濯も母親まかせ。 アルバイトやコンピューターで得た資金は全部自分の小遣い。 これはイタリア式すねかじりライフスタイルがカナダにも飛び火してきたのかな。 その数は43%と統計局では弾き出している。 トロントでは20代の独身者の58%が細い親のスネをかじっているというのだからこれはもう社会問題だ」

「一方子供の姿が家庭から消えていくのも気になる現象だ。 子供の居る家庭は41.4%だが、子供の居ない家庭は42.7%と上回っている」

「それに子供をつくる女性の年齢が上昇しているのも最近の特色。 40歳をこしてから母親になる女性が増えている。 ということは、学歴を積んだりキャリアに打ち込むことを大切にする女性が増えて、昔ながらの妻として母親としての役割が変わりつつあることも認めなければならない」

「これはカナダに限らず、アジアやヨーロッパでも拡がっていく現象なんだろうね.。 君もかねてから頑固な反動分子だから、女性の進出には抵抗があるだろうが、マダムキューリーやミセスサッチャーのようなインテリジェンスとタレントを生かさなければ人類の損失だよ。 女性もこれからこの惑星を変えていくだろうから、その貢献を受け入れる度量がなければいけないだろうね」

(2007/09/27)

Tuesday, September 25, 2007

ドルをめぐって (2007/09/25)

『ドルをめぐって』

「先週カナダドルが短時間ながらも米ドルでパーのマジックラインを抜いて、カナダドル復権の望みを果たしたね。 カナダ人にとっては大変な心理的なブーストだ。 5年前は62セントを割っていたのだから。 カナダ市民も強くなったカナダドルを持ち、国境での2時間の通関時間もものかは、米国でのショッピングモールに出掛けている」

「このところカナダドルも上昇に弾みがついていたから、強気のエコノミストも『パーは年内に実現するだろう』と言っていたのだが、意外に早く9月のうちに瞬間風速ながらそのラインを突破した。 この先カナダドルがさらに米ドルの1ドル10セント、1ドル20 セントまで行くかどうかは投機筋の出方方次第。 19世紀には米ドルで2ドル以上していたこともあるそうじゃないか」

「米加のドルがパーになったのは1976年以来のことだが、カナダドル安が30年も続いたのは、バンクオブカナダの自制的な通貨政策と、その影響で失業が長期間減らず、それに生産性も設備の有効利用が比較的低かったからだと言えるだろう。 しかしここへきて、石油の値段は上がるし、鉱産物も強含み、小麦の価格も高騰と、カナダにとって有利な条件が揃ってきた」

「確かにカナダ経済が現在好調なのは内外が認めるところだが、それだけがカナダドル高の要因ではない。 米ドルに対して強くなっているのは、日本円もポンドもユーロも同じ。 つまり米国のサブプライムが引き金となって起こった住宅市場の破綻と、国際収支の赤字が、米ドル安を演出したことはご承知の通りだ。 そしてリセッションに落ち込む恐れも出てきている」


「カナダの産業の重心はオンタリオとケベックの製造業だが、これがカナダドル高のため深刻な打撃を受けている。 事業所の縮小と閉鎖が相次ぎ、失業も増加中。 それに加えて中国からの輸入品が米加の市場に氾濫しているから、カナダ産品も片隅に押されて米国のみならず世界市場でビジネスが難しくなってきている」

「となると、人口も経済も米国の十分の一のカナダはまた肺炎になるのか。 カナダも今の経済のファンダメンダルズに安閑としてはいられないということだね。 それにしても米国民は、カナダが米国の最大の貿易相手国であることを知っているのだろうか」

「それは過去の話。 今やカナダは最近トップの地位からずれ落ちて、中国が米国最大の貿易相手国に取って代わった。 グローバル経済も諸行無常で暮れるというわけだ」

(2005/09/25)

Saturday, September 22, 2007

補欠選挙の波紋 (2007/09/22)

『補欠選挙の波紋』

「先日のケベックの補欠選挙は3つの選挙区で行われたが、NDP(新民主党)1、保守党 1、BQブロックケベコア 1で、自由党はゼロだった」

「マスコミや政治評論家はその辺りを予想していたから、大体予言通りだったわけだが、それにしても自由党が全敗したとは驚いた。 1週間たってもまだ余震が続いている」

「特にモントリオールのウートルモンは、フランス系ブルジョアの本拠だ。 1935年以来、1回を除いて、自由党を絶えず選び続けてきた。 そこへ社会民主主義政党のNDPが切り込んで勝利宣言をあげたのだから驚天動地」

「何故70年も続いた富裕なウートルモンが今回は左翼に票を投じたのだろう」

「それは補欠選挙特有の低い投票率のせいもあるが、この上流階級の選挙区に近年フランス系以外の新しい移住者が移り住んできた。 その人達の心をつかんだのが、元々州レベルの自由党系の政治家で、NDPの誘いを受けて立った候補者だった」

「一方、郊外で今までBQの牙城だった選挙区では、人気のあった元市長を保守党がかついで議席を獲得。 大きなくさびを打ち込んだ。 これもケベックの分離独立の熱気に冷水をかけることになるだろう。 保守党は、次の総選挙で是非とも過半数を制したいところだが、そのためにはケベックでの党勢を伸ばすことが先決。 その大事な局面にさしかかっているから、この一勝の意義は大きい。 それに保守党が最近極右から中道へと少しずつハンドルを切りつつあることも幸いしたものと思える」

「この前は補欠選挙が風の流れを示す『風見鶏』と呼んでいたが、カナダ全体に同じような風が吹き始めるきっかけとなるのだろうか」

「いや、過去の政治に通じるポリティカル・アニマルによると、『補欠選挙と総選挙は全く別だ』と言うんだよ。 今回の補欠選挙は、確かに自由党の惨敗に終わったけれども、次の総選挙で自由党が巻き返してくる可能性は大いにある。 今は自由党のディオン党首も敗者として鞭打たれているが、このまま消え去るとは思えない。 カナダの近代史をみると、その治世の大半は自由党だ。 自由党が万年政府党と呼ばれるゆえんだが、来月10月に召集される新しい議会が総選挙を呼び込むことになるかどうか、こればかりはハーパー首相でもご存知あるまい」

(2007/09/22)
 



Monday, September 17, 2007

2007年8月のカナダ経済 (2007/09/08)

『8月はまずまずだったカナダ経済』

「夏も終わって、小学生も大学生も学校に戻り、休暇をとっていたサラリーマン達も職場に戻ってきたが、留守の間、仕事の方は大丈夫だったのかな」

「お隣の米国では、住宅の売れ行きが止まったからたいへんだ。 住宅産業は景気の原動力だからね。 米国のアナリストは、(2007年)8月も雇用増大と予想していたが、蓋をあけてみると逆に4年ぶりに雇用が悪化だ。 エコノミストもシヨツクを受けている。 ということは、マイホームを買うのに目いっぱい借金をしていた60万の家族が、家を失う恐れがでてきた。 そしてローンを貸していた金融機関も苦しくなったから、社員をレイオフせざるを得ない。 建設業に働く人達も失業だ。 そして、建材も、それを運ぶトラツクも売れなくなる」

「カナダは、その建材やトラツクを米国に供給しているから、他人事ではない。 米国はカナダの10倍のマーケットだ。 カナダのオシヤワで作っている自動車は、大半が米国向けのトラツクだから、間もなく州選挙を迎えるオンタリオとしては、深刻な事態だ」

「でも8月だけをとってみると、カナダの数字は、米国と比較して、明暗がはっきりしている。 雇用も8月は2万3千増えて、今年に入ってから計23万以上増加と堅調だ。 失業も6%で、33年来の低率。 特に西部のアルバータとサスカチユワンの景気は顕著だ。 アルバータでは、エネルギー業界がブームのため、サービス産業が割を食っている。 例えばレストラン。 求人難が極端で危機を訴えている」

「それじゃ人件費も高くなるね。 それに原材料も上がる一方だ。 ということはインフレの思惑が燻っているということだね」

「しかし賃金が高くなるということは、仕事のある人にとっては悪いことではない。 来年は所得が3.8%増えるとあるリサーチ機関では予測している。 西部では5%アつ7ツプが見込まれている」

「インフレは2.2%だから、実質所得が増えるのは結構なことじゃないか」

「中央銀行のバンクオブカナダは、9月が金利調整の時期だったが、無言のまま押し通した。 バンクの最大の懸念はインフレだ。 だから、現在の2.2%も悪くはないが、目標は2%だ。 だから今後の金利の行方も、カナダドルと米ドルのパリテイ問題、それに物価の動きを睨みながら、手綱を引き締めていくのだろうね」
(07/09/08)

ケベックの風見鶏 (2007/09/17)

(風見鶏となるか、ケベックの補欠選挙)

「9月もなかば。 本来なら、議員たちも長かった夏休みを終えて、オタワの議事堂に戻って然るべきなんだが、ハーパー首相は、9月17日に召集するはずだった新議会を1ヶ月先送りして、10月16日にオープンすることにした」

「ハーパー首相も、9月はオーストラリアに出かけたり、内閣改造の手直しをしたり、席のあたたまる暇もなかったが、それなりの秋の戦略を計算した上での判断だったのだろうね」

「それに、今後の風見鶏ともなるケベックでの下院補欠選挙も控えていたし、オンタリオをはじめ他の州の地方選挙も目白押しという事情もからんで、秋の議会まで時間が欲しかったのだろう」

「現在カナダが直面している最大の問題は、アフガニスタンだが、カナダにとってアフガニスタンとは何か。 何の利害もないのに、NATOに義理を立てて出兵し、70人ものカナダ軍将兵が命を失っているから、国内でも反対の機運が高まるのも無理はない。 保守政権発足当時はコワモテで、駐留の延長をはかったハーパー首相も、ここへきて国民の反対を無視できなくなった」

「それに環境問題がある。 ハーパー首相はもともと環境問題が大嫌いだが、これも世界の潮流に押されて二転三転。 野党主導の綱引きで引き摺られて、ブッシュ大統領やハワード豪首相寄りの立場から後退するよりは、夏休みを延長することにより、マイペースの戦術を練り直し、出直しをはかりたかったのだろう」

「保守党政権が発足してから一年半が過ぎたが、もともと少数与党だから、いつ解散してもおかしくないところを今までよくもってきた。 これも野党が弱くてすくんでいるため。 では総選挙を行って過半数政権を実現したいと思っても、保守党内閣の支持率は30%台で凍りついたまま。 かと言って、自由党の人気も、ディオン党首の人気が一向に離陸しないので、これまた政権奪取は望み薄。 仕方なく保守政権の存続を許さざるを得ない状況が続いている」

「何故ハーパー首相の人気は低迷しているのだろう」

「発足当時のディサイシブなスタイルと弁舌は、新人首相としては上出来と、国民から見直されたものだが、一年半経ってもまだその人柄に難点があるようだ。 だから国民の支持も30%台に凍り付いているのだろう」

「ハーパーさんも人の好き嫌いが激しくて、バットを構え打席に立つディオンさんに、その弱いコーナーばかり衝いて球を投げてくるから、フェアプレイの雅量に欠けるとみられている。  ディオンさんの弱みは英語だが、誠実で廉直な性格は英語系国民の間にも次第に知れ渡ってきている。 但し出身地のケベックで人気がないのは皮肉だ。、ケベック独立に反対で、統一カナダの立場を鮮明にしているからだろう」

「今日行われるケベックの補欠選挙でどういう結果が出るか。 これが今後のカナダの政治に大きな影響を与えることになりそうだ。 今夜の開票の行方はいつになく気になる」

(2007/09/17)