一時停止のオタワ政局 (2008/03/28)
「一時停止のオタワ政局」
「2006年の2月に保守政権が発足してからもう2年以上になるが、カナダの少数与党をベースにしたマイノリティ政権は平均寿命が17ヶ月。 保守政権でも、キム・キャンベル首相は4ヶ月の夏休み政権に終わって、1993年の選挙では党もほとんど全滅した。 ジョー・クラークの保守政権も9ヶ月。 ということは今のスティーブン・ハーパー保守政権は例外的に息が長いということだ」
「でもこの2年余りの間、過半数を占める野党連合がその気になれば簡単に保守政権を倒せたはずなのに、その動きが見られないのはどうして?」
「二大政党の保守党と自由党は、支持率がどちらも30%前後で伯仲している。 どちらが勝っても過半数はとれない。 それでは思い切った国興しの政治は出来ないだろう」
「それにハーパー首相は党を引っ張る力はあるが、政敵を攻撃するのに余りにも党派心がムキ出しで、雅量に欠ける恨みがある。 その上言うこととすることが食い違うことがあるから問題だ。 若くて弁舌もたくみだが、国民の人気はなかなか点火しない。 冷たいという印象があるからかな」
「自由党のステファン・ディオン党首も人気がパッとしないのは同じだ。 人物は誠実で学識も深く尊敬されているのだが、強いフランス語訛りの英語が致命的だ。 だから英語圏の心を掴むのは無理。 それにケベックの独立に反対だから、ケベック出身でありながら地元の支持が得られない。ディオンが脇役にまわらない限り自由党の勝利は望めそうもないというのが、自由党の内部でも囁かれている」
「去年ケベックの補欠選挙では自由党は全敗した。 先日の英語圏の補欠選挙も3勝1敗。 敗北の責任は容赦なくディオンに向けられる」
「自由党は大都市では強いのだが、地方は保守党の地盤だ。 保守党が勝つためには大都市を攻略することが先決。 それに嘗ては自由党が強く今は斜陽のケベックを保守党が狙い撃ちすれば党勢を拡大することも可能。 しかしカナダの人口のパターンは流動的だ。 建国以来カナダの政治経済の覇権を独り占めしてきたオンタリオに、今は産業の翳りが忍び寄っている。 代ってエネルギー資源の祝福を浴びるアルバータが、カナダのみならず海外からも真空掃除機のように人材を吸い込んでいる」
「オタワの議会も、アフガニスタンの派兵問題が収束し、予算をめぐる攻防も波乱なく終わった。 カナダの政権交替劇は2008年の春と予想していたが、この分では2009年になりそうだな」
「それにしても今度の補欠選挙で見る限りカナダの有権者の関心は低いね。 投票に出掛ける人も軒並み30%程度の出足だ。 お隣のアメリカでは大統領の予備選挙に老いも若きも燃えているというのに。 もしその熱気が北上してくれば、カナダの政治も一段と面白くなるのだが」
(2008/03/28)
