Tuesday, May 30, 2006

男の料理(06-05-29)

イノさんへ、

「男子厨房に入らず」というのは、何か漢籍のどこかにでも書いてあった言葉でしょうか。 多分に東洋の封建的な匂いが強いのですが、昔の日本ではそれがまかり通っていたのでしょうね。 私自身、台所の手伝いに立ったこともなかったのですが、母やお手伝いさんに苦労をかけながら平然としていたことを今は恥じています。

モントリオールに居た頃、韓国人の医学生が時々遊びに来ていましたが、娘達と一緒に台所で手伝うのを喜んでいました。 、彼の両親は戦後移住してきたアプレゲールの世代でしょうが、息子が台所に足を踏み入れることを許さなかったようです。 韓国人の家庭の方が我々よりもっと伝統的で、家庭の躾も別な意味で厳しかったのでしょうか。 こちらのカルチャーに染まって居た筈ですが、それでも「我が家では郷に入っても郷に従わず」という態度を貫くところが韓国人のプライドだったのでしょうか。

昔のロックフェラー家では、5人の息子達に週に一回料理を作らせていたそうです。 父親のジョンDロックフェラー二世は偉い人だったのですね。 子供達にとって辛かったのは、料理よりも、使った小遣いの明細を記帳しなければならなかったことだということです。 私など戦後無一文になった親の苦労にも知らぬ顔でノホホンと過ごしてきたのですから、腑甲斐なき限りです。

高名な女流評論家が、昔新聞のコラムに、「息子は智恵遅れだからコックにした」と書いていましたが、これは見当外れの暴言ですね。 世のシェフや板前を無意識のうちに侮辱した心なき言葉。 今ならそういう不用意な発言も控えることと思いますが、しかしそういうAさんはTBSでは大変な人気者だそうですね。

これからは料理も大の男が腕を競う晴れの舞台としてライムライトを浴びることでしょう。 こういうと、今度はフェミニスト陣営から怒られるかもしれませんが、私がテレビのレンズを通してホテルやレストランの調理場をのぞく限り、あそこはまだ男性の世界のようですね。

前にもお伝えしましたが、帝国ホテルの社長だった犬丸徹三さんも、ホテル人生は、ロンドンのホテルのコック修行から始まったそうですね。

イギリスの保守党の新しい党首となったデービッド・キャメロンは、いずれ首相となってダウニング街10番地の官邸に入るでしょうが、趣味と情熱は料理。 イートンからオックスフォードを経て、ビジネスの経験も重ね、議員生活僅か4年で党首となった俊才ですが、料理の本が愛読書だそうですから、国民も、いずれナンバーテンのキッチンで包丁を振るう首相のお手並みをテレビで拝見できる日がくるかもしれません。

シゲより   (06-05-29)

Thursday, May 18, 2006

保守政権百日(06-05-18)

ハーパー内閣が発足してから100日経ちました。 最初の3ヵ月余りは、メディアも不承不承ながら、「失点無し」という評価。 しかしぼつぼつほつれがあらわれ始める頃です。

最初のほつれは、議会の先住民委員会の委員長にハーパーが任命した保守党議員が、最高裁の裁判長に不穏当な批判を行って問題をおこし、辞任を余儀なくされたのが、保守党政権の最初のエラー。

次は、京都議定書に反対している環境大臣が、ドイツで開かれる国際環境会議の議長になるというので、カナダ国内の野党のみならず、ドイツの環境大臣も不満続出。 この議長のポストは、国際間で持ち回り。 今度カナダの順番がまわってきたのですが、京都のプロトコールを非難する人が、会議を取り仕切ろうというのも無理な話です。

それに、ハーパー首相とマッケイ外相は、最近別々にアフガニスタンに飛び、現地のカナダ軍将兵を慰問して帰ってきたばかり。 本来ならカナダ軍の駐留期限は来年までですが、それを、勢いにのって、さらに2年延長しようと、ハーパー首相は意気込みます。 最初は、それを議会に諮ろうともせず、まして議員による投票など論外と、高姿勢の首相ですが、少数与党という立場もあり、一応6時間の討議と投票を認めることにしました。 しかし仮に否決されても、首相の独断で一年延長は強行すると宣言することも忘れませんでした。

なぜ、討議に応ずることにしたのか。 それは、カナダ国民の大半が、アフガニスタンがカナダ版ベトナムになるとみて、カナダ軍の駐留に反対しているからです。 

昨日、議会で、その討議が行われている間に、カナダ軍の女性兵士が戦死しました。 これでカナダ軍は17人の犠牲者をアフガニスタンで出したことになりますが、女性が戦死したのは初めてのこと。 他の多国籍軍では、女性を戦線の第一線に出すことはないようですが、カナダ軍では女性も戦闘要員。 今度戦死したのは、陸軍士官学校出身の26才の大尉。 9月には帰国することになっていました。

カナダは、世界各地の紛争地点に、平和維持軍を送り込んでいますが、アフガニスタンに駐留する2300名のカナダ軍は、平和維持が第一義ではなく、タリバンを討伐するのが目的の戦闘部隊。 もともとアフガニスタン派遣は、前の自由党政府の責任ですから 今回の投票に際して、自由党議員の心境も複雑でした。 ブロックケベコアと新民主党は出兵延長反対。 自由党は各議員の自由投票。 保守党は全員賛成。 従って、結果は、賛成149、反対145と、僅差に終わり、2年延長が決まりました。 自由党議員で反対票を投じたのは、派兵そのものに反対するというよりは、保守党の強引な策略に反対したものかもしれません。

ハーパーは、ブッシュやオーストラリアの首相と志を同じくする「精神的盟友」。 確かに米加の関係は部分的に好転しましたが、保守党としては、次の選挙で、過半数を押さえる多数党政権をとりたいところ。 ライバルの自由党は、現在リーダー不在の党首真空状態。 その隙に乗じて選挙を仕掛ければ、保守党にとっては有利なはず。 従って、選挙は、来年春とみられていますが、今年秋になる可能性もあります。 

保守党は、銃砲取締りに反対で、現存の火器登録制度を全廃しようとしています。 野党ならびに、オンタリオとケベックの二大州、それにトロント、モントリオール、バンクーバーは銃砲規制撤廃に真っ向から反対です。 地方に強い保守党が多数党になるには、これらの都市票が必要ですが、これこそ国を二分する選挙の争点になりましょう。

(06-05-18)

Tuesday, May 09, 2006

高くなったガソリン(06-05-09)

カナダもガソリンが高くなりました。 リットルあたり$1.20ですから、ようやくヨーロッパや日本の水準に近付いたということでしょうか。 アメリカでもガソリンの値段が高騰して政治問題化していますが、それでもカナダドルに直すと、リットル88セント。 カナダのドライバーからみれば、羨ましい値段です。

ガソリンが上がっても、燃料を食うSUVの売れ行きは衰えないと伝えられてきましたが、ここへ来て、少しその勢いが鈍ってきたようですね。 

SUVの売上げは、アメリカの三大メーカーを支えてきた車種ですが、その売上も今は下火。  かつては3位を守ってきたクライスラーもトヨタに抜かれ、あとヨーロッパ勢や韓国車が追い討ちをかけています。

しかし、そうした自動車メーカーのトップの報酬は、アメリカが群を抜いているそうで、アメリカのトップ経営者の年収を 100 とすると、ドイツのトップはその 60%。 日本は 18% だそうです。 ということは、トヨタの社長の年俸は、GMやフォードの社長の六分の一ということになりますかね。 

しかし社員の給与は、GMもトヨタも、大差ないのでしょうから、日本では平社員とトップの給料の差が少ないということなんでしょうね。 奥ゆかしいことだと思います。

やはりGMやフォードの話ですが、かつては、一人のリタイアリーを支える現役社員が何人もいたのに、今では、3人のリタイアリーに対して1人の現役しかいないとか。 アメリカのトップ企業も、年金危機に襲われているわけですが、会社が面倒をみている会社単位のプライベート医療保険も、リーアイアコッカの自伝によると、経営者自体が首を傾げるほど潤沢なものだったようですね。 これも年金と同じく、削減の運命に迫れれていることでしょう。 寄らば大樹とは、生命保険の外交員募集の謳い文句にとどまってしまうのでしょう。 私のなけなしのCBCの年金も怪しいものです。

50年前、まだプロペラで空気をかきまわして旅客機が飛んでいた頃、言い古された話ですが、一等でカクテルを飲んでいたのはアメリカ人。 日本人はエコノミーで書類と睨めっこ。 それが平成になると、日本人が一等で、韓国人がエコノミー。 
平成も二桁になると、豊かな日本では役付きでなくても、ビジネスクラスで出張だそうですね。 そういえば、たまにアップグレードしてもらってビジネスクラスに乗ってみると、なるほど若い日本人の男女が結構すわっていますね。

私が20年前成田に飛んだ時、エコノミーの近くの席で書類に目を通していた初老のカナダ人がいました。 東京に着いてカナダ大使館のレセプションに出てみると、その人がいて、話してみるとどこかの国の大使でした。 当時はBC州の大臣でも近距離はエコにミーでしたが、遠距離は一等。 バンクーバーからオタワへ飛ぶ時、一等の切符をカウンターでエコノミーに交換し、差額をポケットに入れた大臣がいました。  脚の長い人でしたが、英語圏の奨学生ロードスカラーとしてオックスフォードに学んだのですからクリントンなみの優秀な人だったのでしょう。 しかしボスは高校中退のビルベネット州首相。 インテリが嫌いだったのかもしれません。 発覚すると即刻クビになりました。 それからの消息は聞いていません。 調べに当たった警察も、「こんな取るに足らない10セントばかりのことで」と気の毒がっていました。 正直なことで定評のある日本人でも、サラリーマンの出張旅費をグリーン車から普通車に変更して倹約分を浮かすぐらいのことは許されるのでしょうが。 しかし偉い人にはやはり李下の冠が大事なのでしょう。

Thursday, May 04, 2006

新予算と野党の対応(06-05-04)

「保守党予算に野党はどう対応」

「ハーパー保守党内閣のフラルティ(Flaherty)財務大臣が、5月2日に、新しい予算案を議会に提出したね」  

「これは保守党としては初めての予算だが、その前身である進歩保守党政権の頃からすれば、13年ぶりの予算ということになる」 

「保守党の今後の政策は、先日の議会の開院式で、総督のミカエル・ジョン女史が上院の女王の座から、スローンスピーチを読み上げて、大筋は示されたが、今回の予算は、さらに本格的な政策運営の骨格を説明するものだと言える」

「フラルティ財務相は、前はオンタリオ州保守党政府の財務大臣だったが、 財務大臣が予算を発表する時は、新しい靴を履くのが恒例だ。 だからフラルティさんも、テレビのカメラに自分の靴の裏をみせて、新調であることを披露していた」 

「テレビでみる限り、横に構えたハーパー首相に比べて、背丈も幅も大分コンパクトな感じだね。 でも声は大男なみ。 満場の下院議員や傍聴席を前に、新しい予算を繰り広げてみせた」

「今、カナダ政府の国庫の中には、これまで貯まった金が十分有り余っている。 これは、前の自由党政権のマーティンさんが、財務相、首相時代に、せっせと財政赤字を退治し、貯め込んだものだ。 保守党は、その黒字を自分達の手柄のように考えているようだがね。 そのたっぷりした黒字の置き土産で、保守党お気に入りの分野に、減税や総花予算を配分しようとしている」

「いずれにせよ遠くない将来に、また選挙があるだろうから、その際は多数党として出直したい配慮が働いているのだろう」

「一方前の自由党政権が選挙前から国民や海外に約束していた「京都」関連の環境政策や、乳幼児のデーケアの拡充、先住民族の生活水準の向上と福祉などは、大幅バッサリ削減されているね。 300頁を越す予算文書のなかで、環境に触れた部分は数行だけだ。 これもハーパーの「京都」嫌いを如実に示している」

「減税の対象としては?」

「まずGST(物品サービス税)を7%から6%へと1%引き下げたのが引き出物。 ビジネス界も、企業税が21%から19%になることを歓迎して拍手を送っている」

「軍事予算も大幅増強。 警察関連の予算も、警察官を増やし、国境の税関吏や移民官にも銃を持たせるそうだから、その武器の予算も膨らむことになる」 

 「しかし、自由党政府が始めた銃砲取り締まりの登録は、保守党はもともと反対だからね。  都市部の有権者はみな銃砲規制を歓迎しているが、彼等は自由党支持だ。  一方、保守党の地盤である地方の有権者は、自衛のためのガンを神聖なものと考える。 だからハーパーも『銃砲の登録など無用の長物』と斬り捨てるわけだ」 

「文化行政の元締めはヘリテージ省だが、日系女性政治家のオダさんが大臣だ。 だがその文化予算も緊縮気味で冷水を掛けられた恰好だ。 選挙前は文化の振興をうたったオダさんだが、公約を食言せざるを得ないから、最近余り歯切れがよくないようだね」

「少数与党でもつ保守党政権だが、これが最初で最後の予算になったら大変だ。 だからなんとしてでも議会を通過させなければならない。 そのためには、野党3党のうち、一党だけでも、保守党予算に賛同してくれればいいのだが」

「野党も、1月に選挙があったばかりだし、今年中にまた解散ということになると、やはり困るだろう」 

「特に、カナダからの分離独立を目指すブロックケベコアは、ケベック州で人気が今落ち目だ。 だから、今すぐの選挙はどうしても避けたいところだ。 となると当然保守党の支持にまわることが考えられる」

「ハーパーもそこを読んで挑発的な物腰だ。 自由党に向かって、『この予算を潰したければ潰してみろ』と、喧嘩を吹っかけている」 

「自由党にしても、マーティンが引退して、今は党首不在の時期。 党首に立候補する人は10人を超え、有能の士が多士済々だが、次の党首が決まるのは11月になるだろう。 それまでは選挙は願い下げにしたい事情は同じだ」 

「新民主党としても、去年の暮れに自由党を敵にまわして自由党政権を落としたばかりだ。 といって新民主党が政権をとれる筈はない。 二大政党の合間にあってキャスティングボートで揺さぶりをかけることができれば上々だ」

「だからこれとても、金のかかる選挙は先に延ばしたいところだろうから、両党の批判にもつい舌の切れ味が鈍りがちだ」

「ということは、野党三党も総すくみというところかね」

「今回の保守党予算は、次の選挙を視野においた暫定予算という感じだね。 本格的な長期政権のための予算は、来年ということになるんじゃないかな」

(06-05-04)

Wednesday, May 03, 2006

プラウドなハーパー(06-05-03)

保守党政府も、発足してから3ヵ月。 明日5月2日はいよいよ予算の発表です。 ようやく政権として本格的な動きが始まるわけです。

保守党は、1月の選挙では、36%の得票で政権をとったのですから、国民の三分の二は、保守党に票をいれなかったったということになります。

それも、選挙前の予想では、自由党が少数与党ながら第一党になるという見通しだったのですが、投票日が間近になってから、小さなスキャンダルめいた事件がマーティン自由党政府をゆるがし、急に情勢が変転。 保守党が、漁父の利を得たと言っては言い過ぎですが、保守党の綱領が自由党に勝っていたというよりも、相手の失策に乗じて、財布を拾ったという感じが残ります。 

ところが、まだ40代のハーパー首相、過半数で勝ったが如き高姿勢で、閣僚達にも、マスコミに言質を与えることのないよう、緘口令を敷き、今まで秘密主義を守ってきました。 対外的には、首相だけが独演するワンマンショー。 そういうわけで、野党時代にはマスコミにもよく口を開き、心を開いた領袖達も、急に口をつぐんでしまいました。 イノさんが前に指摘なさった通り、ハーパーの険のある表情はそのままで、、鬼女の目元にも変わりありません。 

最近アフガニスタンでカナダ軍兵士4人が戦死したのですが、その遺体がカナダに戻ってきた時、ハーパーは、その柩が到着する様子をメディアが取材することを許さず、オタワの国会議事堂に半旗を掲げて弔意を表すことも禁じました。 ブッシュに倣って、カナダ軍の犠牲が、国民の広く知ることになるのを嫌ったからでしょう。 これも、イラクの米軍戦死者の柩の写真を禁じたブッシュのやり方を踏襲しています。

カナダ政府が前に調印した京都議定書も、ブッシュは「シラミのように」嫌っていますが、ハーパーもその「京都」調印を取り消すことにし、メードインカナダの環境基準を作ると言っています。 しかしその真意は未だ不明です。

しかし、ハーパーとすっかり意気投合したブッシュは、米加間の20年来の棘となっていた、カナダの針葉樹材の輸出問題を解決することにしました。 そして一気に歩み寄りをみせ、それまでカナダの木材業界から理不尽に米国が取り立ててきた50億ドルの課徴金を、全額ではありませんが、8割をカナダ側に戻すことで、手を打ちました。 

カナダの針葉樹材の貿易量は、米加貿易の3%に過ぎないのですが、それでも米国政府は、強力な米国の木材ロビーの圧力もあって、北米自由貿易協定の裁定や世界貿易機構の調停に反し、理不尽な行動に終始してきました。 それが、大統領と首相の気が合えば、余人をもってしては出来ない課題でも、トップの意思だけで、一刀両断、政治的解決が可能というケースになりました。 ハーパーとしては、鬼の首でも取ったような勢いですが、イノさんのエッセイを常々拝見していると、これが米国政権の傍若無人な体質なのだと頷けます。

そういうわけで、今までのところ、ハーパーのコントロールがきいて、特に失策はありませんが、マスコミを敵にまわす秘密主義は、プラウドで倣岸な印象を与えます。 これがまわりまわっていずれは国民の投票につながるのですが、有権者はどういう風に受け止めるのでしょう。 (06-05-01)

Monday, May 01, 2006

おらが村のCMで恐縮ですが(06-04-26)

「おらが村のCMで恐縮ですが」

お犬様の渡航費がUS$6000もしたとは!  チェリストが旅行する時は、チェロを脇の座席に置くので、二人分の料金を払わなければならないそうですね。 同情します。

4月も半ば過ぎてちょっと汗ばむような陽気になると、あちこちで、ブンブンと芝刈りの音が響きます。  

私は、70を機に、自分で芝を刈るのを止めました。 あれは、タンポポ退治も加わって、中々の重労働です。 昔は、非熟練移民の日本人の仕事とされていたのですが、9年前にバンクーバーに戻ってきたら、まわりの中国人の家では、どこも皆白人に芝刈りをさせています。 アジア人と白人の立場が逆転した
のには驚きました。 そこで私も芝刈り専門の会社に頼むことにしました。 すると、白人の青年達が代わる代わるやってきて、肥料まで施してくれます。 ですから、芝も上質になりました。

ところが今はアパート暮らし。 芝刈りの心配からも解放され、ドアをノックして寄付を集めにくる人達とも無縁になりました。

昨日のニュースでは、都市のプラニングの権威、アメリカ生まれのジェーン・ジェーコブスさんが亡くなったことを、その哲学とともに伝えていました。 高名な存在だったのに、私は全く知らなかったのですが、どうも、その理念を聞いていると、私が今住んでいるウェストエンドはそのショーケースではないかという思いがしました。 道路は格子状になっているのですが、車では真っ直ぐ通り抜けられない十字路が方々にあります。 道の途中から小公園になっていて、植え込みや花が咲いています。 高層ビルの合間を縫う車道は狭く、歩道は広い。 安全で静か。 街路で見かける人達も、まわりに気をつかってヒッソリ暮らしている感じ。  それでいて、半ブロック先は、市内でも有数の繁華街。 あらゆる種類の店が揃っていて、観光の中心となっています。 一方反対側の方向に強肩の人が球を投げれば、夕陽の映える海の砂浜へ。 ホームランをかっ飛ばせば北米有数の森林公園スタンレーパークに入ります。

「どうもここは住みやすい。 サイズがピッタリの服に手を通したみたい。 どうしてだろう」と思っていたのですが、ジェーコブスさんを追憶してニュースに現われたバンクーバーの元市長が、「彼女の哲学に共鳴して、都市開発を手直しし、町のど真ん中を走るハイウェイのプランを取り止め、外で食事の楽しめる街造りを心掛けた」と回顧していました。 理想家肌のトロントの元市長も、同じように彼女の影響を讃えていましたが、トロントよりはバンクーバーの方が気候も環境も勝れているのではないかと愚考します。 強弁すれば、ここは世界一住みやすい町。 その中でもウェストエンドが最高。 「こういう場所の一角に終の棲家が得られたのはラッキーだったなあ」と自己満足で独り合点したことでした。