Saturday, May 24, 2008

オイルサンドにインド進出 (2008/05/24)

「ガソリンの値段が高くなるのは、中国とインドの石油の需要が増えているからだといわれるが、そのインドが今度はアルバータのオイルサンドに進出して、既存企業の資産とプロジェクトをテークオーバーしようとしているそうだ。 インドだけではない、オランダ、中国、韓国、ノルウェーもオイルサンドに食指を動かしている。 カナダ人が神経をとがらすことはないのかな」

「確かにアルバータのオイルサンドはサウディアラビアに次ぐ世界第二の石油の埋蔵量だといわれている。 そしてその生産は向こう300年は大丈夫だというのだから、世界の垂涎の的だ。 それにオイルサンドは私企業の所有するものではなく、国の所有する資源だから、民間企業や海外の国際石油資本が進出してきて生産を進めても、そのロイヤルティや税金は国や州が確保できる。 それに何より探査のリスクがいらないのだから、企業としても魅力が大きい。 それに、ナイジェリア、ベネズエラ、その他アフリカや中東地域の産油国と違って、政治的に安定している。 加えて、オイルサンドの最大の課題だった開発技術も近年進歩が著しい。 また「汚いオイル」としてその生産に大きな問題があった環境上の宿題もこのところ解決に明るい見通しが出てきている」

「たとえ海外資本が進出してきても、カナダとしては、企業と共存共栄の足並みを揃えることができるから、政治家はあまり心配していないようだ。 それに企業側も、地域社会のためになるような良きコーポレートシティズンとしての責任感と意識が高まっている。 政府も必要に応じて課税政策を運用して、カナダ経済のプラスになるようにはかるだろうから、海外資本のオイルサンド進出はおおむね歓迎されるのではないかと思う」

「中国はさきにニッケル生産の大手カナダ企業を買収して、カナダ人の目を剥かせたが、あの場合、カナダで生産された金属を中国に安く持ち帰って中国製品の加工に活用する狙いがあった。 今度のインドの国営企業のアルバータ進出は、石油資源の確保という目的はあっても、中国の国営企業のカナダ企業テークオーバーとは少し趣きが違うようだ。 カナダはエネルギー生産ではスーパーパワーだが、新興の中進国がこうしてグローバル経済の地図を次々に塗り替えていくことに歴史の急テンポなドラムの響きが聞こえるようだ」

(2008/05/24)

  

Monday, May 12, 2008

ご無沙汰しました (2008・05・12)

冠省

ご無沙汰しました。 この前の便りが3月でしたから、ほとんど2ヵ月失礼してしまったことになります。

眼の方は、その日の天気にもよりますが、曇りの日は視界をさえぎる霧がさらに濃くなります。 知人の顔も、声をかけてもらわなければわからないほどです。 それに名前が浮かんでこなくなったの
も、昭和一桁生まれの年齢のせいでしょう。

公園や植物園などに一年ぶりに行ってみると、記憶にあった鮮明な樹木や花がすりガラスを通してみたようにピンボケになっているので、いささかがっかりします。

カナダの近況にしても、新聞やテレビが逐一伝えているはずですが、私にはおおかた無縁。 世の中のマグニチュードの微弱なニュースは素通りです。 それではラジオはどうかというと、もともと私のヒアリングが弱くて数パーセントしか判らないのに、近頃はとみに注意力が散漫になって、早口のアナウンスにはとてもついていけません。

まあ、それでも風の便りによると、静かなカナダでも変化は起こっているようです。

景気にしても、つい先月までは、「たとえアメリカがリセッションに陥っても、カナダは大丈夫。 ファンダメンタルズがしっかりしているから」と政府筋も金融機関やシンクタンクのエコノミスト達
も胸を張っていたもの。 ところが5月になって豹変。 「いや、カナダもリセッションは免れそうにない。 何しろカナダの人口の40%を占め経済も40%を産み出しているオンタリオが左前になる」
というのです。 
もともとオンタリオはカナダ最大の富裕州で今まで他の貧困州を援助する立場にあったのに、それがここ1~2年のうちに他の州から福祉手当をいただかねばならぬ貧困州に転落するというのですから大変です。 
代ってカナダで最も貧しくお荷物だったニューファンドランドラブラドールが、海底油田のおかげで一
躍アルバータなみの富裕州になるというのですから これも国を揺るがすニュースです。

アルバータやニューファンドランドラブラドールの原油の高騰は産油国のカナダには朗報ですが、カナダドルも高くなります。 
するとオンタリオから輸出している自動車や工業製品が売れなくなる。 
痛し痒しのオタワやトロントはしかめっ面です。

アメリカの大統領予備選挙のニュースの陰にかくれていた最近のカナダの動きですが、予備選挙もおおむね候補が決まりそう。 そうなればラジオでももっと国内の出来事を伝えてくれることでしょう。

草々

(2008/05/12)